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絶滅危惧種のアマミノクロウサギは食害犯?絶滅危惧の原因や食害の現状

2020年6月20日

アマミノクロウサギ物語

仕事前にYahoo!のニュースを見るのが習慣なんですが、「アマミノクロウサギ」という名前がパッと目に入りました。

最近、可愛いモフモフに飢えていた私は、とりあえずニュースの内容をざっと読んでから、アマミノクロウサギをさっそく検索。

 

…あらやだ可愛い。

黒い毛と短めの耳が特徴の可愛いうさぎが出てきました。

 

ニュースの内容は、「絶滅危惧種のアマミノクロウサギが特産品のタンカンの木を食べている」といった内容のものでした。

けど、アマミノクロウサギって、絶滅危惧種に指定されて載って最近じゃないみたいだし、食害がもし本当だとしても…最近ひどくなったのかな…?

 

色々疑問に思ったので、調べてみました。

そしたら、思ったより…童話みたいな…話の流れで…複雑な気持ちになりました。

 

 

 

 

アマミノクロウサギとは?

アマミノクロウサギ

アマミノクロウサギは、現在、鹿児島県の奄美大島と徳之島の2島のみに生息しています。

 

外見は黒褐色の毛で、耳が小さいのが特徴です。

体長は普通の、小学校で飼育されているウサギと同じくらいの41~51cm程度。

 

また、手足は短く、巣穴を掘る習性のため爪が発達しています。

アマミノクロウサギの巣穴は、時には200cmを越えるトンネルになり、直径50~180cmの部屋を掘るそうです。

 

管理人
予想以上に長いし、掘りますね…!

 

日本固有種で、分類は絶滅危惧IB類。

 

1921年に国の天然記念物に指定され、1963年には特別天然記念物に指定されました。

さらに2004年、種の保存法により、国内希少野生生物に認定されています。

 

天敵はハブやマングース。

子供を産んだときには、巣穴の入り口を土や苔でふさいで、1,2日に1回、授乳の時だけ掘り返す、頭のいいウサギなんです。

 

アマミノクロウサギはDNAや生態、特徴から考察すると、かなり原始的なウサギの仲間だと言われています。

 

 

アマミノクロウサギが滅危惧種になった理由

アマミノクロウサギ

もともと奄美大島にはアマミノクロウサギの天敵が存在せず、1990年代には6000匹以上生息していました。

しかし、とある2つの原因で2000匹以下までに減ってしまいました

その原因の1つは、ハブ駆除の目的で持ち込まれた「マングース」。

もう1つは、人間による生息地の減少と交通事故です。

 

原因①ハブ駆除のはずの…マングース

マングースは、毒蛇のハブを駆除する目的で沖縄に持ち込まれました。

その流れで、1979年に奄美大島にもマングースが持ち込まれることになったんです。

 

導入時はマングースは30匹でしたが、あっという間に1万匹以上に増えました。

 

増えたんですが、ハブはちっとも減らなかったそうです。

そう、減ったのは大量のアマミノクロウサギ。

マングースはハブではなく、アマミノクロウサギを餌にして増えていったんです…。

それまで天敵がいなかったアマミノクロウサギは、抗う術はありませんでした。

その事実が問題視され、鹿児島県と環境省でマングースの駆除が始まったのが2000年。

罠や、訓練された犬で徐々にマングースを駆除して行きました。

 

原因②人間による生息地の減少と交通事故

ウサギが飛び出してくる

1990年代、自然豊かな奄美大島で大きな変化がありました。

 

それは、ゴルフ場の建設です。

 

木を伐採し、土地をならして複数のゴルフ場が作られました。

それによって自然がなくなり、それまで住んでいた動物たちの住処が奪われてしまいました

 

その結果、動物たちが人間の生活圏へ侵入することが格段に増えてしまい、交通事故に合ってしまう動物が増えてしまったのです。

アマミノクロウサギも例にもれません。

 

更に、観光客が増えてしまい、奄美大島内の自動車の数が増えてしまっていたことも増加の要因でした。

 

対策として、「アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン」などで地域住民、観光客等に対して安全運転を呼びかけを周知徹底しました。

キャンペーンを継続することによって、注意する人が増えて事故が減っていっているそうです。

 

 

アマミノクロウサギが増えた!けど、今度は食害…?

こうした対策が功を制して、アマミノクロウサギは徐々に個体数を増やしていきました。

環境省の調査では、2015年度時点で約1万5千~3万9千匹にまで回復しているとの推定結果がまとめられています。

 

管理人
結構増えていますね…!

 

ただし…増えてしまったことで、アマミノクロウサギの食料が足りなくなるという、別の問題が発生してしまいました。

 

アマミノクロウサギは草食性で、ススキなどの草や木の皮、果実やタケノコなどを主に食べているそうです。

ただ、それだけではなく、植林されたスギやヒノキ、農作物を食べてしまうこともあります。

最近ニュースにされていましたが、特産のかんきつ類「タンカン」の木がその被害に合っているようです。

 

実際は2017年ころから被害があって、ニュースにされたのが先日。

被害が酷い農家だと、数百本のタンカンの苗木がほぼ全滅したとか…。

 

 

アマミノクロウサギは駆除できない…

タンカンの木

アマミノクロウサギは、今は数が増えてきているとはいえ、絶滅危惧種です。

無許可での捕獲は原則的に禁じられています

 

そのため、防護柵などを設置して対処しようとしていますが…ウサギが飛び越えてしまったり、隙間を潜り抜けて侵入してしまうそう。

アマミノクロウサギは奄美大島でも大事にしたい動物なはずなので、共存共栄を目指したいとは思っていそうですが…なかなか難しそうですね。

 

アマミノクロウサギが絶滅危惧種になった原因と食害になった理由のまとめ

この記事のまとめ

  1. アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島のみに生息している絶滅危惧種
  2. 褐色の毛と、短い耳が特徴的
  3. アマミノクロウサギが絶滅危惧種になったのは、マングースと奄美大島のゴルフ場建設が原因
  4. 対策の末、アマミノクロウサギは増えるが食料が足りなくなり、特産のタンカンの木を食べて問題になる
  5. 絶滅危惧種は捕獲は禁じられているため、有効な対策が講じられていない

人間のせいで数が減り、人間のおかげで数が増え、人間に害を与える存在となってしまったアマミノクロウサギ。

なんだか…童話みたいな展開ですね…。

マングースも、人間が持ち込まなければ問題にはならなかったし…。

知れば知るほど複雑な奄美大島の問題でした。

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